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                        金本知憲外野手
 
          連続フルイニング出場で世界新記録を達成した

               


                   2006年・4月9日 大阪ドームで行われた横浜戦で、連続
                フルイニング出場を904試合に伸ばし、世界新記録を達成した。
              これまでの記録は、米大リーグ・元オリオールズのカル・リプケン選手が
            1982年〜1987年に作った903試合を19年ぶりに抜き去ってギネスに登録する。


 金本選手の力量は、広島カープ育ちであったからこそ、今日の偉業が達成されたと言っても過言ではない。
生みの親元で築き上げた打法は、決して阪神タイガースで学び得たものではないのは確かだ。FAを宣言して阪神に移り、アニキ・アニキと祭り挙げられたり、熱いファンからの後押しを受けて見事に短期間のあいだに、球団にファンに、恩返しを成し得た。

 当時、阪神タイガースはチーム全体がリーグ最下位を繰り返してどうしょうもなく不振に陥っていた。然し、星野監督に導かれ着実に強力なチームへと登りつめた。再度のリーグ頂点を勝ち得たのは彼、金本選手の日々の頑張りが今日の「功」を表している。904試合連続フルイニング出場のアナウンスの瞬間をもう一度リピートしてみよう。

 阪神10−5横浜(9日・大阪ドーム) アニキが世界の頂点に立った。金本知憲外野手(38)が、横浜戦でフルイニング出場を果たし、カル・リプケン(45)を抜く世界新記録を達成した。その日は、3打数無安打と自身のバットからは快音が響かなかったがナインが6試合連続の2ケタ安打で10点をたたき出し、引き分けを挟む5連勝で花を添えた。猛虎の4番(金本)はさらに記録を伸ばし続けて、悲願の日本一を目指している。

 無数のフラッシュの中でも、ひときわ輝いた。マウンド付近でスポットライトを浴びた金本が、3万3438人のファンへ誇らしげに記念の盾を揚げた。「強い身体に生んでくれた両親、神様、広島時代から使い続けてくれた監督に、感謝の気持ちで一杯です。」

 心の底から笑えた。3打数無安打に終わったが、初回1死一、三塁、二ゴロの併殺崩れの間に先制点をもたらした。1002打席連続無併殺の連続記録を持つ金本らしい、全力疾走で奪った1点だった。4回2死二、三塁では、自らのエラーで同点に追いつかれたが、信頼する仲間が挽回してくれた。「チームメートが勝ちゲームにしてくれて、気持ちよくセレモニーを迎えられた」ゲームセットの瞬間は少しだけ口元を緩めて、ナインと勝利の儀式を行った。

 座右の銘は「頑固さ、素直さ」。「信念を貫き通した上で、聞く耳も持つと言うことや」。左手首骨折など幾多のけがに耐え、8304イニングもグランドに立ち続けた。「休むのは仕事を放棄することや。おれは6年半も“有休”を取ってないんや。ほかはみんな年に10日ぐらい取ってるやろ」。酒は、25度の焼酎をロックで飲むなど、決して変わり者ではない。それでも、グラウンドでは精一杯のプレーを見せてきた。

 広島時代、登校拒否の中学生を持つ知人に頼まれて、サインにメッセージを添えて。「絶対に、学校だけは行け!」この言葉に心を動かされ、学校に通うようになった。仕事で悩む社会人からの手紙も絶えない。休まないと言う姿勢が、多くの人に勇気を与えているのだ。

 ささやかな夢がある。オフは治療やトレーニングに費やしてきたため、家族と海外へ出かけたのは2003年の豪州への優勝旅行だけ。「いっぱい海外旅行に行きたい。地中海とかロマンチックやん」すべてを野球にささげてきた分、家族と水入らずの時間を満喫したい。更に、個人的な野球もある。「実業家になって、ウルトラ大金持ちになりたい。100億円あったら、球団買えるんかな」と、引退後の姿を楽しそうに想像する。ただ、プロ野球の選手としての夢も尽きない。

 ヤンキース・松井秀がWBC出場を辞退した後、金本のもとに出場の打診があった。熟考の末に固辞したが、あの時の出場打診については、なぜ?断ったのか・・・生涯に残る有数な“悔い”であった。国際舞台のへの憧れは隠せない。「ライトがイチローで、センターが松井(秀)、レフトはオレと和田(西武)が交代で出る」。超、一流の選手と、08年北京五輪や09年(第2回)のWBCでプレーする自分に思いをはせる。決して破られないであろう、不滅の大記録。セレモニー後の会見では、ホットした表情を浮かべながら、すぐに前を向いた。「王さんが(8日に)1500試合と言ってたんで...つい、計算してしまった。あと3年でも5年でも続けていければ」・・・・

   それが、もし・・・・? 止まったとしても。「究極は、途切れたときに、またもう一年フルイニングをすることです」。
   ミスターフルイニング金本知憲。 視界には果てしない夢が広がっている。



                    
あっぱれ!! 金本知憲 (38歳)

                 




      

                                                 ※ この内容の一部は、「スポーツ報知」 の記事を頂きました。