来賓 ( 1 )

“ ことば ”  連載集

  相田 みつを

            
 
   


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現代人の、 心にしみ入る温かい詩を書に託した作者、相田みつをの代表作を
2ヶ月に渉って連載しました。作者は旧制中学時代、禅僧に影響を受けて
青年期から詩人・書家として盛んな制作活動を展開し、91年末脳内
出血のため亡くなった。「生きる」 ことを見つめて紡ぎだしたこと
ばを、分かりやすい書で表現した作品は、「こころの時代」
に静かな人気を呼んでいる。


著 書

「「にんげんだもの」
「一生感動」 「一生青春」
           「雨の日には・・・」 「しあわせは いつも」
   : 文化出版局
「おかげさん」 「CDブック いま ここ 」 「いのちいっぱい」
            「 こころのビデオ   きょうが一番いい日 」
   : ダイヤモンド社
            
「いちずに一本道  いちずに一ツ事」     : 佼成出版社
            
「こころの暦 にんげんだもの」        : 而今社


 掲 載   こ    と    ば
Speech
 そのときの出逢いが
     人生を根底から変えることがある
                   よき出逢いを

 出逢いそして感動、人間を動かし人間を変えてゆくものはむずかしい理論や理屈
  じゃ〜ないんだなぁ。感動が人間を動かし出逢いが人間を変えてゆくんだなぁ。
Speech
 ここは孤独なところ
        自分が自分に
              なるところ
Speech
 張りすぎてもだめ
      たるんでもだめ
           ちょうどいいあんばいが一番いい
Speech
 自己顕示 自己嫌悪
         わたしのこころの
                うらおもて
Speech
 花には人間のような かけひきがないからいい
        ただ咲いて ただ散ってゆくからいい
               ただになれない人間のわたし   
Speech
 だれうらむことはない
         身から出た
              さびだなぁ
    
Speech
 自信はなくて
     うぬぼればかり
         ああ  はずかしい はずかしい
Speech
 あんたのこころがきれいだから
       なんでもきれいに
              見えるんだなぁ
Speech
 この我執の強さ そして この気の弱さ
       共に佛さまが
            わたしに授けてくれたもの
Speech
10
 ひとの世の幸不幸は
        人と人とが逢うことから
               はじまるよき出逢いを
Speech
11
 あの人がゆくんじゃ わたしはゆかない
   あの人がゆくなら わたしもゆく
     あの人 あの人 わたしはどっちの あの人か?
Speech
12
 アノネ
     がんばんなくてもいいからさ
             具体的に動くことだね
Speech
13
 いちずに一本道 いちずに一ツ事
    観音さまに助けられ 佛さまに守られて
       曲りなりにも一本道 迷いながらも一ツ事
Speech
14
 くさびだから
      一番大事なところへうつ
           くさびだから見えないようにうつ
Speech
15
 百円玉一ッ
      ポンと投げて手を合わす
           おねがいごとの多いこと
Speech
16
 できない約束は しないことだな
Speech
17
 きれいな玄関と
       床の間だけじゃ
            生活できねんだとなぁ
Speech
18
 名もない草も実をつける
        いのちいっぱいの花を咲かせて
Speech
19
 にんげんはねぇ
     追いつめられると弱いもんだな
          ひとごとじゃない自分のこと
Speech
20
 かげぐちを
     いわれることを知りながら
         ほめられればすぐのぼせる わたし
Speech
21
 あんなにしてやったのに
       『 のに 』 がつくと
               ぐちが出る
Speech
22
 毎日少しずつ
      それがなかなか
             できねんだなぁ
Speech
23
 一病息災 貧乏神同居
       しかもかくのごとくなりといえども
               いのち明朗 いのち満点
Speech
24
 親切という名のおせっかい
          そっとしておくおもいやり
Speech
25
 そんかとくか人間のものさし
          うそかまことか佛さまのものさし
Speech
26
 浄玻璃の鏡のまえに立つまでは
         秘めておきたし あのこともこのことも

“ 浄玻璃の鏡 ”
地獄の閻魔王庁にあって、亡者が生前に為した善悪総での所業を映し出すという鏡のこと、おっかないかがみですね。
Speech
27
 アレも コレも ほしがるなよ
Speech
28
 体験して
     初めて
        身につくんだな
Speech
29
 ふるいものを出さなければ
          あたらしいものは入らない
Speech
30
 一生燃焼
       一生感動
             一生不悟
Speech
31
 かねが人生のすべてではないが
        有れば便利 無いと不便です
                便利のほうがいいなあ
Speech
32
 生きているうち
        はたらけるうち
               日のくれぬうち
Speech
33
 にんげん我慾の
        かたまり
           にんげんのわたし
Speech
34
 ともかく具体的に動いてみるんだね
        具体的に動けば
               具体的な答えが出るから
Speech
35
 途中にいるから中ぶらりん
       底まで落ちて地に足が着けば
                   ほんとうに落ち着く
Speech
36
 考えてばかりいると
          日がくれちゃうよ
Speech
37
 批判はしたけれど
          自分にできるだろうか
Speech
38
 セトモノとセトモノとぶつかりッこすると
   すぐこわれちゃう どっちかやわらかければ
     だいじょうぶ やわらかいこころを持ちましょう
Speech
39
 いちずに一本道
         いちずに一ッ事
Speech
40
 うばい合えば足らぬ
       わけ合えばあまる
              うばい合えば憎しみ
                     わけ合えば安らぎ
Speech
41
 自分が自分にならないで
            だれが自分になる
Speech
42
 いまから ここから
Speech
43
 つまずいたって
        いいじゃないか
              人間だもの
Speech
44
 なるべくなら
       うそのないほうがいい
Speech
45
 なやみはつきないな
          生きているんだもの
Speech
46
 いいことは おかげさま
           わるいことは 身から出たさび
Speech
47
 しあわせは
      自分の
         こころがきめる
Speech
48
 そのとき どう動く
Speech
49
 やれなかった
       やらなかった
 
            どっちかな
Speech
50
 トマトがトマトであるかぎり
     それはほんものトマトをメロンに見せようと
          するから にせものとなる
Speech
51
 一番わかっているようで
           一番わからぬ この自分
Speech
52
 なみだで洗われた
          まなこはきよらかでふかい
Speech
53
 土の中の水道管
        高いビルの下の下水
               大事なものは表に出ない
Speech
54
 その場がきなけりゃ
           わかんねぇ
Speech
55
 受身   柔道の基本は受身
        受身とは ころぶ練習 負ける練習
           人の前で 恥をさらす練習
Speech
56
 べんかいのうまい人間
           あやまりッぷりのいい人間
Speech
57
 ひとつひとつ
       かたずけてゆくんだね
                   具体的にね
Speech
58
 けれどけれどで
         なんにもしない
Speech
59
 捨てる
       どうでもいいものから
               捨ててゆくんだね
Speech
60
 おかげさん
Speech
61





END
 願    
を持ちましょう”
 
「願」と「欲望」とは、根本的に違います。わずかなお賽銭を挙げて、
  それも年一回の初詣の時ぐらいで、 

「家内安全、商売繁盛、お金がいっぱいできますように!」  
  なんてね。

こうゆうのは個人的、 私的な欲望です。 それを私は否定しません。 
私も同じですから。 しかし、そうゆう私中心の欲望とはまったく別に、

   ○ 核戦争など、 絶対に起こりませんように!
   ○ 世の中が、 どうか平和でありますように!
   ○ 山や海や河、そして土、水、空気、自然が、人間の作る
      公害でこれ以上汚れませんように!

   と、心から念じた時、それを
“願”といいます。  
   どんな小さな
“願”でも、心ひそかに持ちつずけていると、
   顔がよくなり、眼の色が澄んできます一人ひとり自分に合った
   
“願”を持ちましょう。 そして、「一隅を照らす」人間になりたい
   ものです。

                          合掌  相田 みつを

                     本掲載の内容は、「相田みつを美術館」の連載承諾を得ております。

平成11年 11月 20日 から 2ヵ月間、当、サイトで掲載いたしました。

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